サモアに伝わるお話(まだまだ追加製作中)

〜サモア○不思議〜

サモアを始め、大洋州諸国の人々は東南アジアが起源だと言われています。

サモア語は文字を持たない言語のため、西洋人と交流を持つまで記録という手段がありませんでした。

従って、それ以前はどんな生活をしていたのか、また何が起こったのかは実際のところよく判っていません。

しかしどこの土地にもあるように、サモアにも口伝として様々な伝説が残っています。その数々を紹介します。

どこかで聞いた様な話もありますが、案外起源が同じだったりして…




〜少女と巨大うなぎの伝説〜

〜巨人伝説〜

〜小人伝説〜

〜ナファヌア伝説〜




少女と巨大うなぎの伝説

 昔、サモアはサバイイ島のある村に、シナという大変綺麗な娘が住んでおりました。ある日、シナが泉へ水を汲みに行くと、小さなウナギがおりました。シナはそのウナギを持ち帰って飼う事にしました。
 最初は小さな器に入れて飼っていましたが、そのうちにだんだんと大きくなりました。シナはウナギを大きな容器へ移し、最後はまた泉に放すことにしました。しかし、それでもまだウナギは成長を続け、次第にシナは恐ろしくなって、ある日ウナギから逃げ出してしまいました。
 ウナギはシナを追いかけますが、シナはウナギを恐れ、逃げ惑いました。結局、ウナギは村の人たちに首を切り落とされて殺されてしまいました。そして村人たちは、そのウナギの頭を、泉の近くに埋めたのです。
 しばらくして、ウナギの頭を埋めたところから植物の芽が出てきました。その植物は空へ空へと高く伸び上がり、ついには実をつけたのです。村人たちがこの実の皮を向くと、なんとその実にはウナギの顔が現れました。そういえば、その植物の幹はウナギの胴体のように細長く、空へ伸びています。実を割るとその中には甘くておいしい水がたっぷりと入っていました。
 もうお分かりの通り、ウナギの頭から生えてきた植物はココヤシだったのです。今度ココヤシの実を手に入れたらよく見て下さい。そこにはウナギの目と口が見えるはずですよ(右写真)。
 シナがウナギを見つけた泉は、現在も“シナとウナギの泉”としてサバイイ島に残っています(左下写真)。

 このウナギ伝説は、似たような話がポリネシア各地に残っており、ポリネシア人が散っていく段階で各地に語り継がれていったものと考えられます。ウナギが美青年に化けたり、シナが他の島へ逃げていくのを追いかけたりといろいろな変化はありますが、最後に殺されて首を埋められ、そこからココヤシが生えてくるのは共通しています。しかし、私はウナギというよりはアザラシの顔に見えるんですよね…。




巨人伝説(製作中)



小人伝説

 サバイイ島のある村に住んでいた若者が山へ狩りに出掛けました。先行していた犬が、藪の中で何かを見つけたらしく、盛んに吠えています。若者がそちらへ行くと、吠えられて追い詰められていたのはなんと小人でした。
 小人は若者を見ると言いました。「どうかお助け下さい。その代わりに、あなたの望むものは何でも与えましょう。」若者は了解しました。そうすると小人はお礼を述べ、こういいました。「欲しいものがあれば、私たちの住む洞窟の入り口で、奥に向かって話して下さい。しかし、村に帰っても私たちのことを誰にも言ってはいけません。それが約束です。」
 それから、若者は時々小人の住む洞窟を訪ね、欲しいものを言いました。ブタが欲しいといえば、ある朝起きると家の前にたくさんのブタがいました。新しい家が欲しいといえば、夜のうちに立派な家が建っていました。もちろん、若者は村の誰にもこのことを言いませんでしたが、当然村の人たちは不思議がります。どうやって、いつのまに、と。
 そうして、若者の家はどんどん裕福になっていきました。それでも若者は小人との約束を守って生活していました。しかしある日、うっかり他の人に秘密をしゃべってしまったのです。そして、その次に小人の洞窟へお願いに行くと、小人はおろか洞窟まで消えてしまっていたのです。

日本で言うと“鶴の恩返し”?“雪女”に似たところもあるような…。小人伝説というと、フキの葉の下に住むという北海道のコロポックル伝説が思い浮かびます。もっとも、北海道(特に東部)のフキは非常に大きいので、小柄な人ならあっという間にコロポックルになれます。それを考えると、この伝説の小人も、サモア人からみて小柄というだけで、実際には昔住んでいた別の人種かも知れません。マヤ文明の壁画に見られるように、もしかしたら、非常に高度な文明を持った小柄な人種が偶然サモアにいたのかも知れませんね。




ナファヌア伝説

 サモアのサバイイ島最西端に、ナファヌアは、海と霊界の神サベアシ-ウレオを父として、ティラファイガを母として生まれた。サベアシ-ウレオは残忍で、自分の子を生きたまま食べるような神だった。そのため、母ティラファイガは生まれた子の存在を隠し、胎盤を地中深くに埋めた。それで生まれた子は“Nana Fanua”地中の隠し子と名づけられた。
 まだ幼かったナファヌアが一度だけ砂浜に近づいた時、海から恐ろしい姿をしたサベアシ-ウレオがナファヌアに向かい突進し、彼女を捕らえようとした。しかし、彼女の叔父が囮となってそれを防ぎ、サベアシ-ウレオを嘲った。「見よ!自分の姿を!貴様は自分の兄弟すら捕って喰らうつもりか。霊界へ戻り、住まうがよい!」。
 しかし、その場は海へ消えたものの、サベアシ-ウレオは自分の娘、ナファヌアと霊界で住むことを要求し、一緒に住むようになってからは彼女に戦士としての教育を施した。
 ある時、サバイイ島最西部の村ファレアルウポが圧政者により支配され、地域の人々は奴隷にされた。ある日、村の男が叫んだ助けの言葉を聞いたサベアシ-ウレオはナファヌアに命じた。「地上に出向き、人々を解放し、圧政者は全滅させよ。」  ナファヌアはファレアルウポに上陸し、一人で圧政者たちを殲滅した。その後、サモア中のマタイが臣下となり、中央政府をファレアルウポに創設した。この時に、ファレアルウポ村民の中から君主を選び、またその下に最高弁士と呼ばれる4人を配置し、政治を行えるように制度を整えた。村々には、彼女を祭った寺院が数多く建立されたという。
 そしてすべてが終わり、彼女が霊界へ戻る際に、ナファヌアは一つの予言を残した。
「我は汝らによき時代を築く術を与えた。しかし、ここは地上の王国ではない。真の王国はいつか海を越えてやってくるであろう。その王国が到来した折には、汝らはそれに加わらねばならぬ。」
 そして、ナファヌアは再び海へ消えていったという。

 
inserted by FC2 system サモアの伝説たち